2014.03.11

やってみよう!簡単特殊メイク Vol.10

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昨年3月から1年間限定連載の「プロへの道」は

プロメイクアップアーティストとして生きていく

若きルーキーに向け、謎に包まれた「プロ」の世界・

業界の裏側・現実を生き抜く知恵などを

全39本・4つのカテゴリーに分けて解説した

How to コラムです。

連載は2月末で終了しましたが

未公開の記事を全文公開します。

やってみよう!簡単特殊メイク Vol.10 涙

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撮影現場で作る「涙」には2種類あります。本物の涙を流す呼び水として瞳を滲ませる、いわゆる「うるうる涙」と、「流れる涙」です。「涙」を作るには、ハッカ棒なるスースーする小さなハッカの結晶を目頭に置いて涙を誘発させるモノと、目薬の2種類があります。俳優やモデルなど、涙を流す本人の好みもありますが、今回は簡単に出来る目薬でのやり方をレクチャーします。

〈準備するもの〉

・目薬

・綿棒

1. まずは「潤んだ涙」

綿棒を目頭に当て、目薬の量を調整しながら点眼します。なるべく眼の中心に点眼し、瞳全体が均等に潤むようにします。

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2. 概ね0.5～1点眼ほどで潤んだ瞳になります。

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3. 次に「流れる涙」

上記と同じく、綿棒を目頭に当て、今度はまぶたを持ち上げて点眼する面積を広げ、涙として溢れるギリギリまで点眼します。

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4. この時、俳優・監督・スタッフと、涙を流すタイミングを図りながら点眼します。

5. 点眼したら、涙が流れるタイミングの邪魔をしないように素早くカメラ前からどきます。

6. 綺麗に涙が流れたら成功。

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「流れる涙」は、シチュエーションや、涙を流す本人の感情移入の仕方などで、流す涙の量や涙筋が変わります。女性の場合は、メイクが崩れたり、マスカラが落ちたりするので、予め目元周りに使うコスメはウォータープルーフに変えるなどの事前準備が必要です。涙を仕込む場合は、ディレクターや涙を流す本人と綿密に打ち合わせしましょう。

通常「涙」は感情の高振りで出るモノなので、ある程度感情が収まれば涙は自然と止まるものなのに、以前、涙を流すシーンが多い特別番組で、女優さんがカメリハ・ランスルー・本番と、3回とも綺麗に同じ涙筋で毎回自力で涙を流し、しかもカット数の関係で4時間近くもかかった撮影で、途中で水分補給しながら涙をキープしていたそのプロ魂に感服しました。

ちなみに業界で「美しい涙を流す」伝説の人は、美空ひばりさんと菊池桃子さん。美空ひばりさんは、「悲しい酒」を歌う時に必ず同じタイミングで左目の真ん中から一筋の涙を流し、菊池桃子さんは、ドラマの泣くシーンで物凄く切なそうに、絶妙のタイミングで目の真ん中下から玉の涙を一筋流す…と有名でした。人間の顔も目も微妙に湾曲しているので、この「眼の真ん中から」涙を流すのが中々難しいのです。しかも、涙は感情の高ぶりで出るモノなので、美しい泣き顔の表情をキープするのも指南の技。感情と涙と涙筋までをもコントロール出来る超絶プロ技には脱帽です。

涙は誰もが流した事があるので、「泣く」という感情も涙の行方も想像できると思います。意外と簡単でも奥が深い「美しい涙」が作れるように、色々チャレンジしてみて下さい。

～やってみよう!簡単特殊メイク～

Vol.10 涙

Vol.11 シチュエーションメイク

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